私には、教える上で、恩師と仰ぐ方が2人います。
どちらの方も80代で、現在も現役バリバリですが、キャリアの集大成に入るお二方の姿を、2.30代の駆け出しの時に見ることが出来たのは、また私の運命なのだと思う時があります。
お二方にいつも言われること「将来、息の長い音楽家を育てること。そのためには、教える方が、目先のことにとらわれず、その子の将来を長い目で考えること」
この言葉は、指導する上で私の主軸としています。
で、表題のコンクールについて。
息の長い音楽家を育てるにおいて、コンクールはどのような位置づけにしたらよいのかな、と思うことがあります。
数年前は、生徒も小さかったので(そして、私も若かったので💦)、ただやみくもに頑張って、結果が出たら嬉しい!結果が出なかったら、次頑張ろう!と、なんとも単純なものでした。
今は、生徒も大きくなり、内面の成長に伴い、そんな単純なものではなくなってきました。
多感な時期の学生にとって、分かりやすく結果がでるコンクールは、時として本質からそれがちです。
ただただ結果が出る事のみ考えて、がむしゃらに頑張る。それも一つの経験かもしれませんが、自分で自分を傷つけることにもなりかねません。
かくいう私も、高校、大学生のころは、何者でもない自分が嫌いで、自信をつけたいが為だけに、コンクールを受けまくっていた時期があります。
そんな動機じゃもちろん結果など出るはずなく、受けては落ちを繰り返していました。
あの日々から得たものもあるけれど、貴重な学生時代、他のやり方もあったのではないか。。と後悔することもあります。
そんな経験から、今をがむしゃらに頑張っている学生さんに、コンクールを何故受けるのか、自分の心に問いかけて欲しいと思います。
コンクールは、音楽の本質からそれることなく、自分自身の向上の為、明確な目的を持って適度に挑戦するなら、とても価値のある機会だと思います。
ただ、その理由が、結果だすことで自分を認めて欲しい!という承認欲求から来ているのであれば、一度立ち止まって、音楽を奏でる本質を思い出して欲しい。
そして指導者は、もし結果が出なかったとしても、あなた自身の価値は、何一つ変わらないという事を、常に常に生徒に伝え続けなくてはいけないと感じるこの頃です。
一年の終わりに向かい、コンクールも佳境に入ってきました。
私も、軸をそれず、健全な心身を持って、音楽の本質を追求した集大成が本番に聴けるよう、サポートしていけたらと思います。